ハノイ国際漫画会議 その3

photo by ベルント先生
photo by ベルント先生

さてこの一大イベントですが、実は単なる漫画ファンの集いではなく、

漫画を文化としてとらえ、常日頃からコツコツとまじめに取り組み、いろんな側面から研究されている国内外の大学の先生方の学会というか、発表の場なのであります。

 

学会は場所を変え、女性博物館のホールで行われました。

 

フツーの漫画家な私とフーさんは、やや、というか、大変場違いな感覚を覚えつつも、がしかしこんな方々とお会いできる、お知り合いになれる機会などまずなかなかないので、この場に混ぜてもらえることを大変光栄に思いつつ、いろんなお話をうかがったのでした。

 

ベルント先生と徳先生はすでにご紹介しましたので、

その1その2をご覧くださいね。

 

会場入り口です。

機材のチェックも入念に。 Getting ready for the conference.

 

会場結構広いです。パイプ椅子じゃないとこが新鮮。

机もツルピカなので、フーさんはその上をスライディングしたい欲求に打ち勝つのが大変でした(^0^;)

(その妄想をスケッチにかいて笑わせてくれる・・・(^-^;)

 

Venue:Meeting Hall Level 2 Room 203, Vietnam Women's Museum

by FSc
by FSc
photo by  Prof. Dr. Berndt ベルント先生
photo by Prof. Dr. Berndt ベルント先生

左から,

 

★ニューヨーク市立大学助教授、鈴木繁先生

Ass.Prof.Dr.Shige Suzuki (Baruch College, the City University of New York,USA)

"Social Potential of the Comics Medium: Tobe Keiko's With the Light"

 

カメラを向けるといつもわざと?仏頂面、いつもは大きなひとみでニコニコの素敵なおにいさんです。

はるばるニューヨークから、ほとんど二日がかりでかけつけていらっしゃいました。

日本人なのに、英語で、向こうの学生さんに授業をしているというだけで、はかりしれぬ尊敬の念が!(キラキラ)

いかにも旅慣れてる~という感じで身軽な身のこなし、ホテルは我が家、というリラックスぶりでした。

映画にもなった、戸部けいこ先生の漫画(自閉症の子供を持つ母のストーリー)についてお話されていました。

 

★大分大学国際教育研究センター 准教授・センター次長 長池 一美先生

Assoc.prof.Dr. Kazumi Nagaike (Oita University, Japan)

"What are Japanese Yaoi/BL studies?: An Historical and Analytical Overview"

 

カナダ在住歴9年、目をつぶってれば、(いや、あけてても?)ネイティブとしか思えぬほどはんぱなく流暢な、しかもチョー早口な英語を話されるチャーミングな長池先生!

なんと出身大学は北九州、お勤めは大分(私は大分の芸術短大だったのです)と、共通項も多くおおいにもりあがりました!

ゆるゆるな服装の私にくらべ、スキのないファッションが決まってました!

 

先生の専門はBL(ボーイズラブ)漫画研究なのですが、

正直私ははじめ、社会主義国であるベトナムにあってその話題はアリなのか?!みんな知ってるのか??と思ってましたが

ふたを開けてみればなんと!

集まった若者たちに一番熱狂的に迎えられたのは彼女のレクチャーだったように思います。

ま~活発に質問も飛んでましたよ~

 

★京都精華大学非常勤講師、がん・しょうふい先生

Dr.Gan Sheuo Hui (Kyoto Seika University, Japan)

"Newly Imagined Lives: Portrayals of Young Women in Recent Mainstream Southeast Asian Manga and Comics "

 

ご自身がひらがなで書かれてたのがなんかかわいくて(*^-^*)

その1でご紹介済みのガン先生。

日本語もペラペラですが、輪をかけてペラペラな英語で発表されてました。

マレーシアは英語を含め、いくつかの言語が日常で使われているのですね~

「現代東南アジアの漫画・コミック界において主流を成す、若い女性の描写について」

 

 

がん先生発表中。

シンガポールコミックアート国際ジャーナル リム・チェン・ジュウ先生

Mr.Lim Cheng Tju (International Journal of Comic Art, Singapore)

 

各国の漫画家・イラストレーターに描いてもらったサインブックをお持ちで、僭越ながら私も一筆。

お若いですが、編集のほか、学校の副学長などもされているらしい。

すごいこといっぱいなさってるのですが、細かいとこは失念。すいません。

”A Rose by Any Other Name:Considering Alternative Comics by Female Creators in Southeast Asia"

まんなかがリム先生。

シンガポールで話されてる英語はシングリッシュっていうんですって。

 

photo by Dr. Gan しょうふい先生
photo by Dr. Gan しょうふい先生

熱心に聞き入る参加者の方々。

ひとりカメラ目線な、大東文化大学国際関係学部准教授、加藤栄先生(^-^;)

そしてその隣でラクガキに忙しいフーさん(^0^;)

 

どんなのをかいてたかというと・・・・(画像をクリックすると説明があります。)

  ↓

明治大学国際日本学部准教授、藤本由香里先生

Associate Professor School of Japanese studies TUKARI FUJIMOTO

(MEIJI UNIVERSITY)

"The Dawn of Shojo Manga before the 1970s"

 

とても上品で華のある、おしゃれな方でした。

私の作品も知っててくださり嬉しかったです(*^-^*)

「70年代以前 少女漫画の夜明け」

 

by Prof. Berndt
by Prof. Berndt

(右)大東文化大学 経済学部 社会経済学科 准教授 中垣恒太郎先生

   Associate Professor KOTARO NAKAGAKI

   (Daito Bunka University Faculty of Economics)

   " From Shojo Manga to Women's Manga"

 

  常に冷静沈着、非常におだやかな中垣先生。

ご自身の研究発表のほかにも、ともすればハイテンションになりがちな女性陣の中にあってもろもろの進行はもちろんのこと、水先案内、軌道修正と、大変な働きをされていました。

発表内容は少女漫画から女性漫画への変遷について。

私の作品にも言及してくださってました。感激!

 

左は通訳のチャン・クアン・フイーさん。

 

「銀曜日のおとぎばなし」

(少女漫画時代)

「がんこちゃん」

(女性漫画時代)


by prof.Berndt
by prof.Berndt

オープニングでご紹介済みの、

筑紫女学園大学文学部英語学科教授・大城房美先生

Prof.Dr.FUSAMI OGI

(CHIKUSHI JOGAKUEN UNIVERSITY Department of English)

 

今回のイベントの立役者、企画発起人、

その実現・成功のためには表舞台に裏方にと、休む間もなく大活躍された大城(おおぎ)先生。

受ける印象はお声、外見ともほんとにはんなりとやさしいのですが、内に秘めたるその漫画への情熱、ご自身の確固たる信念に関してはゆるぎないものをお持ちの、なかなか硬派な方です。

昔私の作品を読んでくださってたそうです。(*^-^*)

 

「少女漫画の黄金時代ーかわいい&かっこいい」

"The Golden Age of Shojo Manga-Kawaii and Cool"

 

 

 

by Prof.Berndt
by Prof.Berndt

(右)ベトナム国立大学 東洋研究学部 ファム・ホアン・フン先生

Mr.Pham Hoang Hung

(Vietnam National University, HANOI  ,University of Social Sciences and Humanities, Faculty of oriental Studies)

 

基調講義をされていました。

Keynote Lecture

by Prof. Berndt
by Prof. Berndt

(右)大東文化大学国際関係学部准教授 加藤栄先生

Associate Professor Kato Sakae (Daito Bunka University )

 

加藤先生はベトナムに関してはとにかく達人でらっしゃって、

ちっとやそっとじゃおなかをこわしません。(ちがうか(^-^;)

 

も~そのベトナム語のペラペラっぷりときたらカッコいいのなんの!!

いろんなことを教えていただき、(例えば現、地の人も知らない、街路樹の根元から1mくらいが白く塗られているわけとか。)

 

なにかと甘えてお世話になったのでした~

(特にごはんを食べに行ったときのメニューなんかでも、いつも頼りにされてました)

 

”ベトナムにおける、日本の漫画の受け入れとその未来の可能性”

Acceptance of Japanese Manga in Vietnam and Its Potentiality

 

by Prof. Masami Toku
by Prof. Masami Toku

ベルント先生のレクチャーは、

ジェンダーコミックスについて。女性漫画の可能性とその限界。

 

Prof.Dr.Jaqueline Berndt (Kyoto Seika University )

" Gendering Comics: Possibilities and Limitations of "Women's Manga"

 

ここでも会場の参加者の注意をがっちり集め、メリハリをつけて場の空気をまとめ上げる、まさに「先生!!!」という感じのオーラはさすがでした!

まさに「先生!!」

 

ところでベルント先生、先日の第16回手塚治虫文化賞選考委員さんとして名前が載ってましたよ!!

先生にしかられる中学生の図(^0^;)<ベルント先生とふーさん>

さっそうとバイクで去っていかれた、

ベトナム国立大学・京都大学Collaboration Office Office (VKCO)Co-Director

Shine Toshihiko先生(漢字表記がわからないのでこのまま)

今回は、藤本由香里先生の通訳をされていました。

 

 

 

 

 

 

休憩時間には廊下に軽食が用意されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

その準備の様子 by Fooさん →

 

アハハハハ!

  

 

参加された方々は皆さん、それぞれの先生方の、綿密に練られ準備されたレクチャーに熱心に聞き入り、活発に質問などもされていました。

大変充実のひと時だったことと思います。

日本の漫画への熱い視線と思いを感じる数日間でした。

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ところでこれは会期中訪問された方々に配布されたポストカードで~す。